「そういえば、いはイタリアン・メレンゲじゃなくてイチゴもありだったよな。やらかした。イチゴと言えば、昨日雑誌でイチゴスイーツの特集あって、それのイチゴを使ったミルクレープ上手そうだったよな……他は」
………………………………………。
ちょいちょい橋本くん。
君は何を一人でブツブツお経のように唱えているんだい?
てか、スイーツ特集?んだそれ。
君はなんつー雑誌を見てんだよ。
女子高生か。てゆーか、女子高生のあたしでさえも、そんなの見てないよ‼?
なんで、あたしより女子力高めなの‼?殴られたいの‼?叩かれたいの‼?ドMなの‼?
幼馴染みである彼をそう育てた覚えないあたしは、彼はドMということで解決させた。
頭の回転速度が速いって?やだなぁ、照れちゃうよ。
彼のお菓子の腕は多分ピカイチ。
家が病院じゃなかったら、絶対パティシエになりたかった。
……なんて言うほど。
ちなみに彼の夢は病院を継ぎ、早く嫁を見つけ、子供を産み、その子供に早く病院を継がせるとのこと。
そして、無理矢理継がせた後、自分はパティシエになり、店を開きたいらしい。
将来がはっきりしていて、よろしいことで。
優季の子供どんまい過ぎる。
「…なぁ、美沙。やっぱり大切なのは愛なのか?」
何故そうなったの。
どこからミルクレープから愛に移ったんだ。
イケメン、頭脳明晰、文武両道。全て丸潰れだ。
目の前には深刻そうに眉を寄せる彼。
あたしには何がそんなに彼を深刻にしているのか意味不明だ。
はっきり言って、
「…どーでもいいんだけど」
「…………」
スイーツトークは現実に復帰した優季の返事により幕を閉じたのだった。

