勿論、志貴も知らない。誰も知らない。
知っているのは、ヤった女だけ。
泊まらせて、と言えば一人暮らしの女はすぐに頷く。
夕方もシて、夜もシなきゃいけないのは面倒だが、野宿するよりマシだと思ってやっている。
志貴は俺が妹が嫌いということは知っている。
志貴だけが知っていると思ってた、おとといまでは。
───『ねぇハルくん。あたしね、昨日少し遠いんだけどね、隣町の松本病院に行ったの』
───『そしたらね、朝霧双葉っていうハルくんに似た可愛い子見ちゃったんだー』
何であの女知ってんだし。
意味わからない。志貴が言うわけないし、あの女どこで知ったんだし。
まぁ知ってようがどうでもいい。
事実だし。
「朝霧晴クンですかぁ?」
「そーだよ」
放課後、ぶらついてるとキツい香水の匂いがする女に話しかけられる。
へらっと笑みを浮かべて肯定すると彼女は顔を綻ばさせる。
「今日、どうですかぁ?」
答えは勿論、
「いーよ。俺とやるときの約束知ってるかな?」
「勿論。守るよぉ。イケメンだしぃテクもあるとか言ってたからぁお金出す価値あると思うもん」
その情報はどっから流れてんだろ。
女の社会は怖いものだ。
まぁその口コミ的なものがあるから、俺は困らないでいるから、有り難いけど。
「じゃあ、行こっか。どこでするのかな?」
「最近出来たラブホだよぉ」
「スターディオ、だっけ?」
「物知り~当たりよぉ」
「褒められると、照れんねー」
差し支えないどうでもいい話をしていると、スターディオに到着した。
ドピンクのその店は明らかに、THEラブホと言わんばかりだった。
「入りましょうか」
「うん、入ろうか」

