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「池山先輩いますかー?」
3年の教室に顔をぴょこっと出して、目当ての相手を探す。
意外とすぐに見つかった。
あのお色気さん。異様にお色気を放ってやがる。
「あら、お迎えに来てくれなくても良かったのに」
ふわりと笑う彼女は妖艶である。
「先輩、逃げそうたったので」
あたしも負けじと笑うが、色気があるかは問わないで欲しい。
「あら、よく分かってるじゃない」
何この悪女。優季クン、何でこんなの選んだの。
はだはだ疑問だ。
どこが簡単そうだったから?
簡単じゃなくて厄介の間違いだろうよ。
「盗聴ストーカーちゃん」
「…あたしの事ですか?」
このクソめ。マジで処刑。
「当たり。結構有名なのよ貴方。2年の槻倉にアタックしている1年の高嶺の花、って」
また出た。高嶺の花。
だから、あたしは高嶺さんでも、花ちゃんでもねぇっての。
「…それで倉條さん」
「何?池山サン」
「貴方、意外とノリ良いわね」
「アリガトー」
「…………それで、どこでお話するの?」
「カフェまで行くの面倒だし、屋上でよくありません?」
「ん、分かったわ。行きましょうか」
席を立った彼女は教室の扉にいるあたしに向かって歩き出す。
隣に来た彼女には、昨日と同じ甘いけどどこかスパイシーな大人の香りがした。

