「ヴォルドが吸血?」
リダルが唖然と立ち尽くす。
ラジルはまた頭を抱えた。
「失礼ながらヴォルド様」
「なんだ。」
「嫉妬で吸血はやり過ぎでは……」
瞬間、ラジルは吹き飛ばされ
壁に体を打ち付けられた。
「うぐっ」
呻き声が聞こえたと同時に、
今度はヴォルドが立ち上がり
強風が吹き荒れた。
「嫉妬?笑わせるでないぞ、ラジル。」
ぎらりと光る真紅の瞳から怒りが伺える。
「寝言は寝てから言うが良い。」
そうまた椅子に座ると
強風が消えた。
「申し訳、ございません。」
立ち上がったラジルは口端の血を拭った。
リダルは何も言わないまま
ソファーへ座り込む。
