「大丈夫です!私がおりますわ」
ぐったりとするシャロンに
ロゼッタの視界も歪んだ。
「元音がしてたから来てみれば…。
シャロン、怪我は?」
ロゼッタの横に跪き、
シャロンを見たウォルトは目を見開いた。
「吸血、されたのか?」
ハッとしたシャロンの瞳から
更に涙が零れていく。
その首筋に薔薇の紋章があった。
ギチギチ歯を噛み締めるウォルト。
(ヴォルドが吸血?
初めての事だ)
自分が煽ってしまったと、
ウォルトも苛立ったが、
必死にそれを抑えた。
「歩けないだろう?シャロン。
俺が部屋まで送るよ。」
そっと抱き上げたシャロンの体は
小刻みに震えていた。
