その頃何も知らない
シャロンは本を読み耽っていた。
それを見守るロゼッタが
話し掛けるのを躊躇うほど
夢中になっているのだ。
静けさに包まれた図書室。
それを打ち破ったのは、
大きな音を立てて
入ってきたヴォルドだった。
息を飲み、立ち上がるシャロン。
焦った様に頭を下げたロゼッタ。
「ヴォ、ヴォルド様」
「貴様は下がれ。」
低い声。
シャロンは体を震わせた。
躊躇ったロゼッタだったが、
命令は絶対。
シャロンを気にしながら
そっと外へ出て行った。
二人きりの室内。
ガチャリと鍵の閉まる音に
シャロンは体を強張らせた。
「何をしていた。」
無表情のヴォルド。
声はやはり出てはくれなかった。
一歩ずつ下がるシャロン。
ヴォルドはそんなシャロンに近付いた。
「質問に、答えぬか。」
とんっと背中に当たる壁。
ヴォルドは目の前まで来ていた。
