蟻の染み【短編ミステリー】



あれから、数時間たった。


お姉ちゃんは友達の家に泊まりにいった。

お母さんはどうやら飲み会らしく、今日は帰ってこない。

お父さんは出張。


家には私と健吾さん二人しかいない。

二人きりなんだ。



「健吾さん。よかったんですか?お姉ちゃん」


「いいんだよ。期待を持たせるような言い方をすると、勘違いするからね。ああいう人は。」


私はそっか。と言って健吾さんの肩に頭を置いた。そして、手は恋人繋ぎで繋いでいる。


「そういえば、何かの染みがあるっていってなかったっけ?」


染み?


もしかして


「蟻の染みの事?」


「そうそう。見せてくれない?」


「…いいけど。何で?」


「ちょっとね。噂を聞いた事があって…。」


「噂?」


なんだろう…?悪い予感がするのは私だけ?