蟻の染み【短編ミステリー】



だけど、ある日、健吾さんがバイトをやめてしまった。

落ち込んでいるときにお姉ちゃんが同じ大学の彼氏を連れてきた。

それが、健吾さんだった。

凄く嫉妬した。いや、今でもしてる。


だって、まだ、好きだから。


お姉ちゃんが憎い。私の方が先に好きになったのにっ!



「麻菜ちゃん。麻菜ちゃんってさ、彼氏とか好きな人とかいるの?」



え…?


なんで、そんなこと…



「あ、今なんでって思ったでしょ?麻菜ちゃん、覚えてない?同じバイトだったよね?僕、ずっと麻菜ちゃんが好きだったんだよ。」


「え…?…う、そ。」


「本当だよ。でも、バイト辞めて、麻菜ちゃんを諦めようと思って舞と付き合ったんだ。」


「け、んごさん!健吾さんっ!私も健吾さんの事が好きなんですっ!だけど、お姉ちゃんに取られちゃって…。」



同じ気持ちだったんだ!



嬉しい…嬉しいっ!