side.M




この、真っ白な体が嫌いだった。
大嫌いだった。



…はるくんに、出会うまでは。



~中学2年生~


「茉莉。」



するりと耳に入ってきて、とん、と胸に落ちてくる、そんな声で呼ばれて、振りかえると、案の定、春川花希くんが笑いながら、私に手招きをしていた。

女子の痛い視線を潜りながら(特にこの前机を蹴った、あの子)、春川くんの所へと行く。



「なに?春川くん。」

「花希でいーって。それよりさ、」



これ、わかる?

聞かれたのは、さっき授業で習ったばかりの古文の現代語訳で。



「これはね、」



私は、春川くんに勉強を教えるのが好きだったりする。

ううん。

きっと、春川くんと一緒にいるのが好きなんだ。