キュッ…と栓をとめた。

頭から垂れてくる水を避けるように髪を拭く。
小せぇ奴が黙ってる。
オレのことを見つめたまま、切り出そうとしねぇ。



「……何の用だよ…」


言いてぇコトは分かる。
オレはただ、コイツの口から聞きてぇだけだ。





「………傷つけないで…」



やっと出た一言がこれだ。


「…何をだよ」


抽象的すぎ。分かるように言えってんだ。



「…自分を……まりんちゃんも……」
「あんっ⁉︎ 」


険しい表情してみせる。でも、ちっともひるまねぇ。



「…河口君は泣いてる……でも、それをまりんちゃんにぶつけるのはおかしい!」



怒ったような声。
なんでオレが、コイツにそんな事言われんだ。




「…まりんちゃんを傷つけないで…!私の大事な友達を泣かさないで……!」

「……知るかよ…」


冷たく言い放った。
ヤツがビクつく。
強張った顔をして、唇を噛みしめてる。



「まりんの方からお節介してきたんだ。オレからじゃねぇ!」


睨みつける。

オレも、アイツも……。


「まりんが泣くか泣かねぇかなんか知るか!ほっとけ!」

「……ほっとけないよ!」



初めて聞くような大きな声。
小さなヤツが、大きな態度をとる。



「ほっとけないよ…!私の一番最初にできた友達だもん!」


泣き出しそうになるのを堪えてる。
真っ赤な顔して、声を震わせて……