「おはよう…」


小さな子供のような声。



「おはようハルナ!昨日はサンキュ!」



まりんが礼を言ってる。



「ううん…それより大丈夫だった⁉︎ …河口君」
「ヘーキ、ヘーキ!見て!この通り!」


指さした。
チラッと丸い目がこっち向く。


「ホント…元気そ…」


ホッとしてる。こいつもダマされた口か。


(どいつもこいつも、バカばっかだな…)



自分が一番のくせにそう思う。呆れ返ってるオレとは裏腹に、ダイゴがこそっと耳打ちした。



「後で話がある。昼休み屋上で…」



「……分かった」



とうとう来た。

死の宣告ならぬ失恋宣告だ。
覚悟を決める。
オレはやっぱり失恋なんだ……。





「……えっ⁉︎ ホント⁉︎ …」


驚くような「きのした はるな」の声。


「河口君と付き合ってるの⁉︎ 」


まりんの言葉を疑ってる。


「…うん…昨日から…ね…」


まりんが恥ずかしそう。
こいつがオレを好きだったなんて、実際、本人の口から聞くまで知らなかった。



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『……ソウヤのこと意識したの、中2の時。2年ぶりに同じクラスになって、ソウヤ見た時、変わったな…って思ったの…』



ロープウェイで山に登った。
緑に覆われた山の中は涼しくて、下界の煩わしさからは逃げれた。


『…オレ、そんな変わってたか?』


まりんの膝に頭乗せてる。
そんなふうにしてると、イヤでも恋人同士に見える。