「好きだよ……まりん……」



優しく抱きしめる。

電車の中だからやめて…と声がする。

でも、オレはやめねぇ。


まりんの体を引き寄せた。
あいつの顔が近づく。



「好きだ…」



自分がな。



唇を押し付ける。
まりんが軽く抵抗する。
でも、オレはやめてなんかやらない。

何もかも思い通りにならないなら、せめてこいつだけは思い通りにする。




「ソウヤ…」



離した唇が名前を呼んだ。



そうだ。

オレは『かわぐち そうや』

『かわぐち そうま』

なんかじゃねぇ…………