「…なんだよ!」

トゲトゲしい声を出す。


「…いや…なんか今日はやけに静かだな…と思って…」

新聞を広げてたツヨシが言った。


「どこか具合でも悪いの…?」

ミドリが心配する。



「…どこも悪くねぇよ!」

イライラして答えた。


何かっちゃ直ぐに具合が悪いのかって聞く。
兄貴のトラウマのせいかもしれねぇけど、心配しすぎなんだよ!


「…もういらね…」


メシもノドを通らねぇ。
食ってるような気分じゃねぇ。



「…もう行くのか⁉︎ 」

ツヨシが立ち上がる。


「ソウヤ、お弁当…!」

ミドリが手渡そうとする。



「…いらね!食う気ねーから!」



吐き捨てるように言った。
飛んでくるビンタ。

ツヨシが恐ろしい顔して、オレのことを睨んだ。


「親が作ってくれた物を食う気ねぇって、お前は一体、何様のつもりだ!!」
「あなた…!」

ミドリが止めに入る。


「止めるな!コイツは甘ったれてるんだ!自分が何でも一人でできるくらい思ってる!何もできねー子供のくせに、親に反抗なんかするな!」


抑えるミドリの手の隙間から言葉をぶつけてくる。
もしも、この場に兄貴がいたら、なんと言ってこのオヤジを黙らせるだろう。


「ソウヤ……お父さんに謝って……」

ミドリが願いを乞う。
ギリッ…と歯を食いしばる。
ここで謝るのなんか、死んでもイヤだと思った。