(なんで……)


理由は考えなくても分かる。
目の前で、センパイが告ったからーーーーー


「ダイゴ君が好きなの…ずっと前から好きだったの…。私と……付き合ってくれない…?」


年上だけど…って半泣き。
ダイゴはその先輩の肩を、そ…と抱き寄せた。



「オレも……センパイのことが好きだったよ…ずっと…ずっと前から…」


映画のワンシーンか…って思うくらい似合ってる二人。
そこだけ時間が止まってるように見えたのは、きっとオレが…ショックを受けてたからだ…。



(ウソだろ…)


やっぱり…って思いを打ち消す。
センパイはオレのこと、あんなによく知ってたじゃねぇか…。
なのに…なんだよ…この仕打ち……



(……っざけんなよ!)


握りしめてたリストバンドを投げ捨てた。
全速力で、その場を立ち去る。


胸がイタイ。
涙が出そうになる。
あの日のように気持ちがイッパイで……
足元が崩れ落ちそうで……



(…くそっ!何もかもデマカセかよ!)


センパイだけは…
オレのビィーナスだけは…
ウソをつかねぇって信じてたのに……!


(どいつもこいつも……自分の為なら……平気でウソをつくのかよ!!)


目から溢れてくるのは涙なんかじゃねぇ!


(汗だ!…オレは、汗かいてるだけだ!!)


ガキの思い込みを笑う。
両思いだと思ってたのに、やっぱり片思いだった。


バカなオレ……!ただセンパイに利用されただけなんだーーー!!