「帰るよー!」


まりんとセンパイが待ってる。
二人に向かって走りだす。
チラッと振り返りながら、アイツが無事帰れればいいけど…って思った。



オレ達の下りる駅は一緒。四人共、家の方向が別なだけ。


「じゃあね!」


センパイが一番先に歩き出す。


「また月曜日に!」


まりんが走りながら言った。


「オレも帰ろ…またな、ソウヤ!」
「おぅ!また!」


ダイゴの背中を見送る。
自分家の方向に行くと見せかけて立ち止まる。

方向転換。
センパイの方へ走り出した。


動悸がする。
心臓が裂けそうなくらいドキドキ言ってる。
今日のこの勢いで、センパイに告ろうと決めた。


(絶対…絶対、上手くいく!)


そう信じて追いかけたのに、何故かセンパイはいねぇ。


(どこ行ったんだ…?)


寄り道してんのかと方向を変えた。
賑やかなバス通りから一本中に入った道。
そこでオレは、見たくもねぇシーンを見た…。



「ダイゴ君…これ…」


センパイの高い声が震えてる。
手に持ってるのはリストバンド。
さっきの店で、一緒に選んでた時ーーーー




『ダイゴ君のイメージってどんなの?』


さり気なく聞かれた。


『ダイゴ⁉︎ あいつ結構シブいのが好きだよ!例えば、コゲ茶ベースのコレとか…』


理由を考えずに教えてやった。
あの時センパイは、素知らぬふりして、ダイゴの分も買ったんだ……