「理由は話せない」と言ってたこと。
大して気にも留めてなかったけど……


「そっかー…じゃあ初恋は実らずのままか〜。ザンネン!」


アッサリ大事なところをスルーした。子供の頃のことだから仕方ねぇけど。


「…じゃあ今は⁉︎ 好きな子とかいる⁉︎ 」


センパイの質問がエスカレートしていく。
女子って奴は、ホントにこのテの話になると止まらねぇ。


「ソウヤ君とかどう⁉︎ 案外イケてるよ!」


推薦するよ…だって、やめてくれよ!


「センパイ、オレ、そいつ興味ねぇから!」


大体、あの日直の時以来、ほぼ会話ゼロだってこと知らねぇのかよ。


「どーして⁉︎ ハルナちゃん、こんな可愛いーのに!」


ほらほら…って顔見せる。
オレが部活でも委員会でもコイツのこと避けてるって知ってっから、わざとそうしてるんだ。


「いい加減にしてくれっ!」


ついにマジギレした。
さすがにセンパイも黙る。


(やばっ…)


ついホンネ出した。
片思いの相手に本性見せるなんて、オレはどうかしてる。


「…ごめん、ごめん!つい二人とも可愛いーから!」


しつこ過ぎたね…って謝る。
ネアカなセンパイの方が、数百倍アイツなんかよりも可愛い。


「…オレもすいません…」


ラクにそう謝れれば言うことねぇんだけど…


「いいけど、別に…」


こんな言い方しかできねぇ。でも、これが精一杯。