「宿泊学習?もうそんな時期なんだー」


懐かしーな…とセンパイが笑った。


「今年はどこ行くの?私達と同じトコ?」


高原の中に建つ青年の家『カイロ』
そこは毎年、高等部一年生の宿泊学習の場所になってた。


「なんで『カイロ』かって話、延々聞かされるよ!覚悟しといて!」


クスクス面白そうに笑う。
今日は委員会の活動日。
全学年の委員が集まって当番日を決めたり、活動内容を話し合ったりする。


「ハルナちゃんは中学の時、宿泊学習とかあった?」


他校のことは殆ど知らねぇオレ達。
『風見学園』という敷地の中でしか生きれねぇ鳥ばかり。


「ありました。私のいた佐伯中では、毎年海の方でやってて…。カッター訓練とかあって、スゴくタイヘンでした…マメとか、手に沢山できて…」


センパイがヤツの手を見る。


「ハルナちゃんの手、小さっ!可愛いー!」



さすりながら、きゃーきゃー言ってる。


(そんなセンパイの方がオレは可愛いーけどな…)


マジになってから、気持ちがますます加速する。
早く告りたくて仕方ねぇけど、なかなか心の準備が定まらねぇ。


「…ねっ、この間二人、チョー仲良かったんだって⁉︎ 」


いきなり話を振られた。


「なっ……」
「まりんとダイゴ君が言ってたの!二人でしっぽり話し込んでたって。ホント⁉︎ 」
「う…ウソです!!」


ソッコー否定!ジョーダンじゃねぇ!