中を指差す。
せっせと紙を折り続けるヤツの姿を、ダイゴとまりんがあったかそうな眼差しで見つめてる。


「ガンバってるじゃない。そんな言い方したらダメよ!」

まりんは戸を開けて、中に入ってった。



「…香月さん!」


「きのした はるな」の声が驚いてる。


「手伝ったげる!一緒にやろ!」

オレの席に座り、まりんが一緒に紙を折り始める。

「私のこと「まりん」って呼んでいいから。私も勝手に「ハルナ」って呼び捨ててるし!」


「お母さん」…と周りの女子達に呼ばれることもあるまりん。
世話好きでほっとけねー性格だってことは、モチロン承知してる。


「う、うん……ま、まりんちゃん…」


ガクッとうな垂れてる。


「ククク…!」


ダイゴが笑い噛みしめる。
オレは二人の様子を確かめて、くるりと背中を向けた。


「オレ…ちょっと一部破けたからもらってくるわ!あと少しだけだから頼む」


側をすり抜けようとした。



「ーーー待て!」


肩を押さえ込まれる。振り向きざまに聞かれた質問。
それはまだ、話したこともなかった人のこと……



「お前…兄弟いたか?」


……9年間、兄弟みたいだと言われ続けてきたオレとダイゴ。
でも、ホントの兄貴はもうこの世にはいなくて、そしてその事実を、オレは今までダイゴに一切話さずにきた。

あの思い出話と同じように、封印し続けてた……。



「……いたよ…今はもういねぇけどな…」