「イイよ。オレとコイツでやるから」


さっきまでのイライラは消えてる。
オレのビィーナスの声が、それを消してくれた気がする。


「手ー取んなよ!」

一応念押し。でないとコイツ、トロそうだから。


「う…うん…は、はい!」


二度返事。


「プハッ!」


ちょっと笑えた。
ダイゴとアイツが顔見合わせる。
オレの態度がコロコロ変わるもんだから、不思議でしようがねぇ…って所か。


「…なんか知らねーけど、機嫌治ったみたいだよ、ハルナちゃん、良かったな!」


ダイゴが言いたいこと言ってる。
「ソウヤ」と「ダイゴ」
二人の間に割り込んできた「きのした はるな」

この代償は……大きいからな!





パチン、パチン、パチン……

静かな教室に響き渡るホッチキスの音。
ダルそうに資料を留めるオレの横で「きのした はるな」は、せっせと紙を折ってた。


「…早くしろよ。そんなスピードじゃ、いつまで経っても終わんねぇだろ⁉︎ 」


自分は手伝いもしねぇのに言う。
ビクついた「きのした はるな」は、きゅっと唇を固くした。


「ご…ごめん…なさい!これでも急いでるんだけど……」


その割には一枚ずつってーのはどういう事だと言いたくなる。

けど、怖がらせるな…と、ダイゴにクギを刺されたばかり。



『……お前、あんま冷たくするなよ!ハルナちゃん『他所者』なんだから、些細な事もよく知らねーんだから』

分かってるだろ⁉︎ …だって。