「……悪かったよ」


オトナにって先に謝る。
いくら相手がまりんだからって、オンナ相手にケンカは良くねぇ。


「…ふんっ!」


ブーたれて出ていった。
スポーツができて成績が良くても、やっぱ、まりんの方がコドモだ。


「何が原因だよ⁉︎ 」


オンナとケンカなんて珍しーって驚かれた。


「…大した事じゃねぇよ!」


誰にでもトゲみたいな態度をとる。
オレのこのイライラを抑えられるのは、穂波センパイだけだ。


「…おいっ!どこ行くんだよ、ソウヤ!」


ダイゴが追いかけてくる。


「…どこって……トイレだよ!」


苦し紛れ。センパイとの時間をムダにしたくねぇから。


「だったら早く帰ってこいよ。お前、今日、日直だから。ハルナちゃんと」
「…えっ⁉︎ なんでアイツと⁉︎ 」
「出席番号順!忘れたのか⁉︎ 」

「……忘れてはねーけど…」

(…そう言えば…そんな役もあったのか……)


運の悪さに空を仰ぐ。
これまでは、いつもダイゴと一緒だった…。


「だいたいの事は教えといた。後は任せたぞ!」


ポン!と肩叩いて教室に戻る。
すっかり気がそがれてしまい、オレはそのままトイレに逃げ込んだ。




(…クッソー!どこまでついてねぇんだ!)


クラスに係に部活に日直……一体どんだけ絡んできやがるんだ!


(バックれようか……)


ふとそんな気になる。でも、そんな事したら、ソッコー親に連絡がいく。
ミドリとツヨシにバレたりしたら、それこそ後が恐ろしい…。