「楠瀬 大吾」と最初に会ったのは、小学部一年の時。
出席番号順に並んだオレの後ろが奴だった。


『ヨロシク〜!』


最初からフレンドリーな奴だった。
誰かれ構わず握手して、オレの所へやって来た。


『ボクの名前は「くすのせい だいご」。そっちは?』
『かわぐち そうや…』

緊張してるオレが言葉少なく答えたら、奴は顔をくちゃくちゃにして笑った。


『ソウヤ!ヨロシクな!』


頼もしい感じがして、兄貴に似てると思った。
同じ学年なのに、自分より背が高いってだけで安心だった。


それから毎年毎年、恒例のように同じクラスになった。中学部に進級しても、高等部に入っても変わらなかった。


「ここまでくると、高等部の3年間も同じクラスでいたいな!」


入学進級式の帰り、ダイゴがそう言った。


「オレ、ソウヤの考えてる事なら大体分かる。だから、お前もオレと同じ気持ちだろ⁉︎ 」


笑うダイゴが単純で羨ましいと思った。
こっちは拒んでた思い出の相手と再会して、かなり戸惑ってたのに。



(ーー考えてる事が分かるってなんだよ…!ちっとも分かってねぇじゃん…!)


今日も『他所者』のアイツに愛想ふりまくダイゴに呆れる。
「きのした はるな」の面倒を、一から十まで手取り足取り。
それがなんだか、オレはスゴく気にいらねぇ。



「コワイ顔……」


呟く声に振り向いた。
まりんがいつの間にかオレの側に立ってた。