「ちぇっ!つまんね!」
「アヤカはマジメだな!」
「マジメって言うより固すぎ!…遊びがねぇ!」


オモチャを取られたコドモみたいなこと言い合ってる。

オレのビィーナスを侮辱するなんて、先輩たちでも許せねぇ。



「…まぁまぁ押さえて押さえて。ハルナちゃんのことなら、オレが教えますから」


ダイゴが調子いい言う。
コイツは、ホントに誰にでも合わせる。
良く言えばフレンドリー。悪く言うならコウモリ。


(…ケンカや争い事がキライなだけだって知ってっけど、たまには怒れよ!)


こっちの方がイライラ。
どうせ、大したネタ持ってないこと知ってっから、助け舟出すしかねぇ。



「…ダイゴ!コートの準備手伝えよ!」
「おぅ!分かった!今行く!」


先輩たちに頭を下げてやって来る。


「サンキュ!助かった!」
「…アホか。余計な口出すからだ!」


こんなことは日常茶飯事。
お互い助け合ってきたのは、これまで数え切れねぇ程ある。


「お前…アイツのこと殆ど知らねーのに、よくあんな口から出まかせ言えんな」


呆れてやった。


「あーでも言わねーと、穂波センパイの悪口止まんないだろ⁉︎ 」


ネット広げながら、ダイゴが話す。


「…まさか…その為か⁉︎ オレはてっきり、アイツの為かと……」


ハッとするような表情を見せた。
ドキッと胸が鳴る。


「…いや、まぁ…ハルナちゃんを助ける意味も含むけど…!」


照れくさそうに下を向く。 ダイゴの横顔を見た。
わざとこっちを向こうとしねぇのが気になる。けど…


「そっか。別にどうでもいいけどな、オレは…」


わざと素知らぬふり。
胸の中はザワついてる。
もしかしたら、ダイゴも……って思いが、心の中に広がった。