(アイツがバドを始めても、オレには関係ねぇ。これまで通り、知らん顔するだけだ!)


決意を新たにする。
頭の中に浮かんでくるヤツの顔に、兄貴の顔が重なったーーー


(……恨み続けても許してくれよな……オレはそれだけ…アイツの事が許せねぇんだ…)



苦しくなるような胸の痛みを抱えながらも、それだけは譲らねぇ…って決めた。
明日から、どんなに「きのした はるな」が視界に入っても、オレとヤツは、全くの無関係だ。


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「木下陽菜です…よろしくお願いします……」


体育ジャージに着替えたヤツが挨拶した。
昨日、自分で言った通り、「きのした はるな」は、ホントにバド部にやって来た。



「はるなちゃん、カワイー」
「小っさいねー、何センチ?」
「彼氏は⁉︎ 」
「誕生日いつ⁉︎ 」
「ケー番教えて!」


オトコたちが、喜び勇んで集まってく。
新人に対するいつもの習慣。
悪さする訳でもねぇから知らん顔。


「…ちょっと!せっかく入部してくれたのに、邪魔しないでくれる⁉︎ 」


穂波センパイが声が響く。

「ハルナちゃんは鳥の群れに慣れてないんだから、驚かさないで!」


肩を掴んで連れて行こうとする。
鳥の群れと言うのは、『風見鶏』が寄ってたかって集まること。
バド部の連中は小学部から続けてるヤツらが殆どだから、どうしても群れて行動することが多くなる。