初恋の相手は半分正解。でも、オレのじゃねぇ。兄貴の…だ…。



いらねぇ動悸がついて回る。
「きのした はるな」がこっちを見てるみたいで、顔が上げれねぇ。



「…ハルナちゃん、また明日な!」

ダイゴの声がした。


「練習参加できるよう、ジャージ持っといでね!」
「待ってるよ!」


まりんとセンパイが見送ってる。



(はぁー…ヤレヤレだ…)


図書委員と言い、部活と言い、まるで運命のようにアイツがついて回る。
兄貴のイタズラか⁉︎ …って思いたくなるくらい、距離があかねぇ…。


(…もしそうなら、やめてくれよ…ニィちゃん……)


ホントなら、視界にだって入れたくねぇヤツなのに、同じクラスに同じ部活。
係まで一緒になって、イヤで仕方ねぇ。


(…メーワクだって……)


亡くなった兄貴にとっちゃ、過去のことなんてどうでもいいかもしれねぇ。
でも、オレはアイツを恨み続けることで、なんとか自分を正当化してきた。
悪いのはアイツじゃねぇって分かっていながらも、ずっと、それだけは変わらずにきたーーーー



「…ソウヤ、この後マック寄ってこーぜ!センパイが進級祝いしてくれるって!」


ダイゴの声に振り向く。
「きのした はるな」の姿はもう見えない。


「おぅ!行く行く!」


『鶏』たちの中にいれば安心する。
忘れたい過去も小さなプライドも、そこには何の関係もねぇから。