『風見鶏』達の中からは手が挙がらねぇ。
だって図書委員は早く帰れねぇし、当番の日は昼休みも潰れっから。



「わ…私で良ければ……」


カタン…とイスの音が鳴った。
振り返ると、後ろのヤツが手を挙げてた。


「ハルナ!いいー⁉︎ 皆 ⁉︎ 」



(ーー良くねぇっっ!!!)



叫びたいのを必死で堪えた。
そんなこと言ったら理由を聞かれる。

理由を言ったら、子供だってバカにされる。


「じゃあ決まりね!図書委員は『ソウヤとハルナ』!」



(クッソー!何でだよ!!)


ブーたれる。
立候補者も誰もなく、図書委員はオレ達二人に決まってしまった。



「…おあいこだな…」

係決めの後、そう言ってダイゴが近づいてきた。


「『鶏』の役目、逃げてたのに残念だったな!せいぜいメンドー見ろよ!」


ニヤニヤしてやがる。


「うるせぇ!テキトーにやるさ!」


イヤイヤながらもしようがない。後期は別のヤツと組めばいいだけの事だ。


大体、オレが図書委員をやる理由は他にある。
片思いの相手、穂波センパイが、大抵委員をやってるって聞いたからだ。



(さっきも図書室にいたし、今回もきっとやってるはず…)


委員会や当番を、一緒にやれるといいな…と思った。
会う機会が増えれば、それだけ告るチャンスも多くなる。

ただちょっと相手が気にいらねぇけど、係の仕事はオレだけが面倒見るんじゃねぇからラクだ。