「面倒見ろって言われたでしょ⁉︎ ガタちゃんに!」


同じバトミントン部だから、緒方さんのことは知ってる。


「言われました!今、ダイゴが面倒見てます!」

「…ダイゴ君が⁉︎ …ソウヤ君はしないの⁉︎ 」

「『鶏』は一人いれば十分だから。オレはそんなの向いてないし!」


本棚に向かう。何気に本を探す。
読む気なんて、さらさらねぇ。ただ、先輩と一緒にいると気恥ずかしいからだ。


「ソウヤ君は人見知りするからね…」


分かってるように言う。


「ダイゴなら適任!」

「だね⁉︎ 」

二人でニッコリ。

穂波センパイの笑顔は、ホントに眩しい…。




カラ〜ンカラ〜ン!と予鈴が鳴り出す。


「ヤバーい!ホームルームが始まる!ソウヤ君、本はまたお昼に借りに来て!」


一緒に図書室を出る。



「じゃあまたね!」



キレイな鳥が駆けてく。白くて細くて長い脚が、しなやかに動いてる。



「サイコー!」


思わず、ピュー!と口笛を鳴らした。


片思い歴は3年。
『風見』で過ごすセンパイとの最後の年。だから、今年こそオレは、告るって決めてるんだ!




教室に戻ると、丁度、緒方さんが入ろうとしてる所だった。


「早く入れ!ホームルーム始めるぞ!」

「……はい、はい…」


二度返事はいつものこと。
長年の付き合いになると、緒方さんの方も諦めモードだ。


自分の席に近づく。
オレに気づいたダイゴが声をかけようとするのを無視して、自分の席に座った。