「おっはよー!ソウヤ!」


緒方さんに『ええーっ…ヤダァ…』と言った女子たちがやって来る。



「……うっす」



フツウに返事。これ、オレ流だから。



「今回、同じクラスになれて良かったー!また一緒に遊ぼーね!」



ウザい鳥たちに囲まれる。中学部の頃、何度か一緒に遊んだことがある。


「ああ、また今度な!」


輪から離れる。群れるのは、あんまり好きじゃねぇ。




「…ソウヤって、案外つまんない!」
「そう⁉︎ あのツンツン具合、良くない⁉︎ 」
「あれでも結構、中学部ではモテてたんだよ⁉︎ 」


噂話ほどいい加減なものはねぇ。
オレは別にモテてもなかったし、誰にでもツンツンしてた訳じゃねぇ。



(態度を分けてるだけだ……)



教室を出て行く。行く先は図書室。
お目当ては……




「…ソウヤ君!」



ソプラノの声に胸が躍る。



「穂波センパイ!」



受付にいた『風見鶏』の一人。
3年生の『穂波 彩夏(ほなみ あやか)』さんは、オレの片思いの相手。



「進級おめでとー!また1年間ヨロシクね!」

「こっちこそ!ヨロシクお願いしゃーす!」

「ふふっ!変わらないね!その口の悪さ!」


セミロングでサラサラの髪が揺れる。
数ある鳥の中で、一番キレイな人だと思う。



「今年は『他所者』ちゃん多い?…ソウヤ君のクラス、何人くらいいる⁉︎ 」
「…三分の一くらい…かな…」


頭の中に、あいつの顔が思い浮かんだ。