「うーっす…」



ダルそうに教室に入った。
目の前に、ダイゴの姿を見つける。



「ダイ…」


声をかけようとした。




「…ゴメン!!」



いきなり謝る姿に凍りつく。

謝られた方は目を丸くしたまま、ダイゴの顔を見入ってた。



「面倒くせーとか言って悪かった!当たり前のことなのに、言い過ぎた!ゴメン…!」


『風見鶏』という言葉が先行してる。
この学園には、確かにそんな所がある。
でも……



(マトモに謝る必要なんかねぇって……)




ムッとして近寄った。
ダイゴがオレに気づいて、椅子から立ち上がる。



「はよっ!ソウヤ!!」



何だか少し顔が赤い。



「ああ、はよ…」



目も合わさずバッグを置く。



「お…おはよう……河口君……」


後ろの席から声がする。チラッと横目で確認。



「……ふんっ!」



鼻を鳴らして反対を向いた。
『無視する』と心に決めた通り。



「…何だよ、ソウヤ、その態度…!」



ダイゴが呆れる。



「モットー、忘れたのかよ!…” 挨拶はコミュニケーションの基本!” 」



(面倒くせーな…)


「……オレには関係ねぇよ…!」




席を離れた。
これ以上、丸い目をしたヤツの隣にいたくねぇ。




「…気にしなくていいから!あいつはどっちかっつーと、ツンだから!」



ダイゴのフォローが入る。
オレは別に、ツンでも何でもねぇ。ただ、嫌いな奴と口ききたくねぇだけだ。