『ふん…!とかされた……』


ショックそうに、肩を落とした。


『さみしーだろ〜と思って声かけたのに、『ヘーキ!』とかゆーんだ…』


つっけんどんな態度を取られたらしい。
いつも皆に優しくされるから、ちょっと残念そうだった。


『どんな子⁉︎ …ボクがとっちめに行こうか⁉︎ 』

そう言うと、兄貴は笑って言い返した。


『そんな事したらダメだよ!ますますココロ開かなくなる!』


大人みたいなことを言う兄貴だった。
本が好きで、やたら難しい本ばかり読んでた。
だから、言葉だけは、スゴくたくさん知ってた。


『はるなちゃん、まだここに慣れてないから、あんな態度なんだ。…そのうちきっと、フツウに話してくれるようになるよ!』


毎日、毎日、会いに行ってるみたいだった。

でも、「きのした はるな」は、なかなかココロを開かないみたいだった。




『……てごわい…』


兄貴にそう言わせたのは、あいつが初だったと思う。
一週間経っても、変わらないヤツの態度に、兄貴はとうとう『必殺技』を繰り出した。



『…痛いっ!』


お腹を抱え込んで、苦しみだした。
目の前にいた「きのした はるな」は、ビックリしたような顔で見てたそうだ。



『痛いっ!痛いっ…!…早く……看護師さん呼んで……っ…!』




『ーーーーハクシンの演技したんだよ!』

後になって、兄貴は笑いながら教えてくれた。