しゅわしゅわ…と口の中でラムネが溶けた。
途端に広がる甘さと酸っぱさ。


「……オイシー」


思わず口に出た。
その声を聞いて、そうや君が嬉しそうな顔した。

……なのに出てく。


「…ソウヤの奴、何だよ。あの態度」


ダイゴ君が呆れる。


「病院キライなんじゃない⁉︎ 誘った時もイヤそうだったし…」


まりんちゃんは、彼の出てったドアを見ながら答えた。

ここはそうちゃんの亡くなった病院。
そうや君にとって、あまりいい思い出のある場所じゃないのかも。


「…ハルナ、私達また来るから!」
「今度は穂波センパイも誘ってくるよ!」

「…うん!待ってる!」

「じゃあまたね!少しはご飯食べなよ!」
「河口君にもありがと…って言っといて!」
「オッケー分かった!」


まりんちゃんとダイゴ君は笑顔でドアを閉めた。
ホッとする私。
箸をトレイに戻して、食事を遠ざけた。


……この2、3日食欲がまるでない。
ムリして食べてはいるけど、全くと言っていいくらい味がしない。

砂を噛んでるみたいな感じする。
点滴に縛られて、気軽に歩き回れないから…ってせいもある。



「…さっきのママ…ヘンだったな……」


お菓子を取り上げられたのを思い出した。
最初からあまり食べたくなかったから、おかげで助かったけど…

(でも…あんな必死になって弁解して…何かあったのかな…)