「何もいらない…。食欲も何もないから」

 
ママの最後の砦を奪う。
私が欲しいのはただ一つ。
ママが側にいてくれること…。
仕事にも何処にも行かず、近くにいてくれること…。


「そっ。じゃあ先生に会って来るわ。」


アッサリしたもん。やっぱ可愛くないんだ。私なんて…。


ママの出てった後、しんみりする。
あんなだけど、私の大事な肉親。
かけかえのない大切な人…。


「もしも、私が病気で死んじゃったりしたら、どんな顔するんだろ…」


ロクでもないこと考えた。
ホントは間違ってもしちゃいけなかったのに、この時ばかりはどうかしてた。


……先生と話をして帰って来た時のママの様子。

それはずっと後になって、ヘンだった…と気づかされたーーーーー


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「…見舞い?」


放課後、ダイゴとまりんが言ってきた。


「そっ。多分、退屈してると思うし、会いに行ってやらね?」


ダイゴの言葉に、ソッコー賛成したかった。
でも、わざと嫌がった。


「…アイツが崖下に落っこちたのって自業自得だろ?病院だって早く行けば良かったのに、ムリして最後までいたからだろーが…」


なんでオレが…って言い方。
急に接し方変えるのもヘンだから。


「でも、ハルナちゃんはオレ達のチームメイトだったんだぜ。オリエンテーリングのブービー賞も渡したいし、ソウヤの顔だって、見たいと思ってるかもしれねぇだろ?」
「…思ってるかぁ?」