片付け始めてしばらくして、まりんちゃんはバレー部の子に呼び出されて行った。
少しして戻ってきた彼女は、私の所へやって来た。



「…ハルナ…」


声が低くてビクッとした。
振り返ると、強張った顔でまりんちゃんが立ってた。


「…さっき、ソウヤのこと聞いたら『知らない』って言ったよね。…あれ、ウソなの⁉︎ 」


強い顔して見てる。
ここでウソだと言ったら、どうなるんだろう…。



「…ホ、ホントだよ。私…河口君、見てない…」
「ウソッ!!」


ビクッ!とするような大きい声に、周りにいた子達が集まってきた。



「二人が一緒にいたところ、見た子がいたんだよ!ハルナが切羽詰まった顔で、ソウヤに何か言ってたって!そんで、ソウヤに打たれてたって!」


声を聞きつけて、ダイゴ君が走ってくる。
声を荒げるマリンちゃんに対して、「やめろ!」と言ったけど……


「どうしてウソつくの!私達、友達だって言ったじゃん!!」


怒ってる顔が泣きそうになる。
その顔を見ても、そうちゃんのことは話せない。



「…ごめん…」


謝るしかなかった。
河口君と話してた内容は、まりんちゃんには関係ないから。


「話してくれないの⁉︎ なんで話してくれないの…⁉︎ 」


まりんちゃんの声が少し震えてる。
その声に胸が苦しくなっても、やはり話すことはできない…。