チャイムが鳴った。
『風見学園』の1日が始まる。

クラスメイトが席に戻る。
オレとダイゴも目配せして、自分の席に着いた。

し…んとする教室内。
クラス替えした初日だから仕方ねぇけど、いつも以上に緊張感が漂ってる。
それは後ろに座ってるヤツが、あの子だ…ってせいもある。



ガラッ…と戸を開けて入ってきた担任。
緒方さんはさっきと違って、ちゃんとスーツを着こなしてた。


「おはよう!皆!」


シーン…としたまま返事なし。
ガクッとうな垂れる。

「初日だからって遠慮するなよ!いつもみたいに元気出せ!」

中等部からの持ち上がりが大半。
知ってる顔ぶれが多いから、緒方さんも砕けてる。


「今日からお前らの担任を任された。まだまだ未熟な俺だけど、1年間宜しく頼むな!」


黒板に名前を書きつける。

『緒方 貴由(おがた たかゆき)』

フリガナ振ってなきゃゼッテー読めねぇ…って。



ホームルームの後、体育館に移動。


「廊下に出席番号順で並べ!並んだら出発するぞ!」

緒方さんの一言で皆が動き出す。
ガタガタ…と椅子を引くオレの後ろで、あのオンナが固まってた。


(何してんだ…?こいつ…)


椅子から立たずにじ…っとしてる。
俯いてる顔を眺め、ダイゴの方を振り向いた。


(声かけろよ!)


アゴで指示する。


(お前がやれよ!)


同じように返してくる。