君と波





春休み明けの久しぶりの1日授業はとても怠くて、放課後には柚葉との会話なんてすっかり忘れていた。


ホームルームが終わると同時に、私は鞄を持ち、教室を出た。



「…っと」




教室を出ると同時に前に人が居てぶつかってしまった私はその人物に目を向けた。




「……え」






そこには






「植田先輩ですか!?」






はーっと肩で息をしながら、満面の笑みで私を見つめる女の子。




髪はショートウルフ。



眉毛が細くて、私より身長が少しだけ高い。




化粧をしていない顔は、まだ少し幼さが残り、2年前の自分を思い出した。






私と、そっくり。



この子が…







「えっ、と…」



「あ!すみません!!!私、上田 華と言います!!」




困惑している私に、その子は頭を下げて謝り自分の名前を言った。





「私、自分とそっくりな先輩が居るって聞いて、是非会いたいって思って。ホームルームが終わったと同時に走って来ちゃいました(笑)」



そして、ポケットからスマホを取り出し





「良かったら、LINE交換して下さい!」




と、自分のLINEのIDを私に見せてきた。




「え…」



「そっくりで名字も同じなんて、私嬉しくて。まあ、私は上下の“上”ですけど(笑)」




終始笑顔を絶やさず話す華に、私はつられて笑顔になり




「いいよ、交換しよっか」



と、自分のLINEを教えた。