君と波





「華…」



泣きそうな顔で、そこに立つ華だった。




「先輩…ごめんなさい」




そう言って、逃げるように走り去る華。





「華!!!!」





思わず追いかけようとすると、女の子が私の腕にしがみつき、





「ちょっと!今あたしと話してんじゃん!」




と、怒鳴ってきた。



私は軽く舌打ちをし




「好きな子が居る!!!」





と、女の子を振り払い、華を追った。




人生で初めて、女の子からの告白を断ってた瞬間だった…









来るもの拒まずなんて、どうでもいい。




そんなモットーいらない。




泣きそうな顔で私を見つめるあの子を追いかけられないなら、そんなのいらない。




私が欲しいのは…



本当に欲しいのは


















「華!!」




やっと追いつき、華の腕を握る。


二人して肩で息をしながら止まった。



振り向いた華の頬には一筋の涙が流れていて



「ごめんなさい」



必死でそれを隠そうと、いつものように笑う華。



そんな華が、とてもいじらしくて…愛しくて…





「華…っ」





私は華を自分の胸へと引き寄せ、強く抱きしめていた…。