「...さぶっ」
秋も終わりそうな時期の夜風は流石に冷え、ポケットから煙草を取り出し一本くわえた。
火を付け、ニコチンを体内へ入れると気分が落ち着き、自分から吐き出された白い煙をボーッと眺める。
私の名前は植田みつ。
高校2年生。
性別は、女。
さっきの理香は出会い系経由で知り合った、私の恋人。
つまり、私は同性愛者。
「わ、かっこいい〜男かな?女かな?」
「えー、でも女じゃない?」
横を通った女の子が私を見ながら騒ぎ立てる。
ショートウルフカットをセットした髪。
黒を中心にしたシャツに身を包んだ服装はホストを想像させる。
男に間違われることには、もう慣れた。
別にそれは不快ではなく、好きでしている格好なのでむしろ嬉しい。
『♪〜』
静かな帰り道にスマホのLINE受信音が鳴り響く。
画面をスライドさせ、LINEを開くと明日学校へ行く“本当の理由”がそこにあった。
「ーーーーっ」
煙草を吸い終え、アスファルトに吸い殻を踏みつぶし、そのLINEに返信を送る。
「OK〜...と。」
