君と波




「先輩…?」



後ろから聞こえた声に振り返ると、そこには私服姿の華が居た。


ジーパンとカットソーに身を包んだ華はいつもよりボーイッシュで、ますます自分と重なる。




「すみません、遅れてしまって…」



「あ、いや…」




さっきまでイライラしていたのに、華の顔を見た途端、そんな感情は一気に消えてしまった。


だが…





「華ちゃん…?」




私の顔を見ようとしない華。


不思議に思い、名前を呼ぶと華はみるみる頬を赤く染めた。



そして





「ごめんなさい、先輩カッコ良くて…」




と、小さな声で言った。



カッコ良いとは今まで何回も言われてきた。


でも、そんな真っ直ぐに伝えられたのは初めてで




「あ、ありがとう」




思わずこっちまで赤くなってしまった。



そして、一度咳払いをして気持ちを落ち着かせ、




「じゃ、最初プリでも撮ろっか!」



と、仕切り直した。


華も元気よく、「はい!」と返事をし、プリ機があるゲーセンへと二人で向かった。




一番手前にある最新機種へと入り、二人でポーズをとる、が


やはり微妙な距離がある(笑)



じれったくて、華の肩を掴み、自分の方へと引き寄せた。


華の香水の匂いが鼻をくすぐる。

それは華も同じだったようで、「先輩いい匂い」と私の首筋を匂ってきた。


その瞬間、心臓が一気に飛び跳ね、今までの人生で一番ドキドキした…。