桜が満開です。
遠藤理恵 桜田中学 中学一年生 今日から入学式です!
「理恵~何組だった?」
「2組だよっ」
「マジ!私も!」
今日は入学式でもあるが、クラスの発表でもあった。
私は、小学校から親友の、佐々木日菜ちゃんと同じクラスだった。うれしい。

「ねぇ、そういえば転校していった前園蓮くんいちよう桜田中学に入る予定だったらしいよ」
「え…はぁ、そうなんだ?」
そんなのとっくにしっている。なぜなら小さい頃から幼なじみでいつでも、情報をきいてたから。
クラス替えの紙の一番下に、蓮の名前が書いてあって、太いマジックペンで線をひかれていた。
きっと、転校しなかったら同じくらすだったんだろうな…。
「蓮くんどこ引越したんだっけ?」
「それは私もわかんない…」
本当にわかんなかった。蓮に聞いても答えてくれないし、電話番号もおしえてくれない。それに関しては一切わかんなかった。
小学校の卒業式の時に手紙をわたされ、「転校することになった!いままでありがとな!話がある。いつもの場所で」
案外手紙の内容は短かったが、蓮らしくてとても好きだった。
«いつもの場所で»
これは、2人の秘密基地。頑張ってつくった、大きな家。
私は告白されるのではないかと、小学生らしい思いで、いつもの場所に向かっていった。
ついた頃には夕方になっており、赤い夕焼けが寂しさをさらに紛らわした。

コンコン

「…愛言葉は?」
ドアの奥から聞こえる蓮の声。
愛言葉は2人のお約束だった。
「…蓮大好き」
「ばーか、なにいってんのお前!ちゃんと愛言葉いえよ!」
「はーい、ソーダ!」
ガチャ
「大正解!ようこそ!!」
蓮の笑顔は私を幸せにしてくれる
そんな気がした。
愛言葉はソーダ。これは2人だけの秘密。
親友の日菜ちゃんにも言ったことがない。
「2人だけ」
と聞くだけで、ドキドキしてくる。重症かもしれない('ω')

「でー、話ってなにー?」
「なんもねーよ!嘘に決まってんだろ!俺が話なんてすると思うか?ばーか」
「てっきり告白するのかと…」
「なわけねーだろ。ばか」
蓮の口癖はバカ、だ。それも蓮らしくていいのかもしれない。
「転校するってまじ?」
「嘘なんかつかねぇよ。まじだよ」
「へーどこに?」
「秘密」
秘密…?2人に秘密などありえなかった。ずっと隠さなかったから…
「この基地はお前にやるよ」

「じゃあな」
手を振って君はいなくなった。
だから、どこに住んでるのかわからない
君も、この桜をみているのだろうか。