気が付くと、朝になっていた。


パソコンにはロックがかかっていた。

手紙も書いたまま。

サンドイッチの食べかけも、パサパサしている。

私は、1階に降り、シャワーを浴びに向かった。


シャワーを浴び終えると、リビングからトーストのいい匂いがしてきた。


「おはよう、信駆。早く食べちゃいなさい。」


「うん…」

母に促され、トーストを食べ始めた。

「信駆、最近、交通事故が多いみたいだから、気を付けなさい。」

「はぁい。大丈夫だよ。」



こんな何気ない会話ももう少しで最後なのかもしれない。


それが今日かもしれない。


私は、学校へ向かう準備をし、いつも通り靴紐を結び、出掛けようとした。


「いってらっしゃい。信駆。」



優しい母の声を聞くのもこれが最後になるかもしれない。

「うん、行ってきます。」

私は、練りに練り直した手紙をポストの奥に突っ込み、学校へ向かった。