「だからさ、ちょっとハルくんのこと
心配なんだよね
ま、仕事で東京に行ってるんだから
大丈夫なのかな」
蘭がそう話した
そして、愛果がちょっと
イタズラっぽく笑って
話を続ける
「愛果は心配じゃないの
ハルくん
あんまり野放しにしてると
可愛い彼女
東京で作っちゃうかもよ」
うわーっ
一番考えないようにしていたこと
ズバリ聞いてくるんだもんな
「愛果もホント
のんきっていうか
不器用っていうか
大丈夫
よく我慢できるよね」
ワインを飲むフリをして
蘭の顔を見ないでいる
こんな時はおんぷだ
おんぷのそばに行って
おんぷを見つめた
蘭がしつこく追いかけてきた
そして
私の顔を覗きこんだ
「愛果、大丈夫なの
昨日も結構女の子来てたよね
パームビーチ」
ああ、聞きたくない
考えたくない
「おんぷう、蘭姉ちゃんが
絡んでくるよお
絡み酒だよお」
「あんたはコナン君か」
そう言って突っ込んできた
二人して笑った
「ありがとう、蘭」
また、コナン君みたいなセリフだわ
二人で吹き出す
確かにそうだった
パームビーチで
ハルが演奏することは
少しの人しか知らないことだったのに
その日の夕方から
もう数人の女の子が
お店の前に集まっていた
ハルの演奏時間は
午後七時からだったけど
三十分前にはお店は
満席になり
珍しくその時間だけの
立ち見スペースもできたのだった

