HALF MOON STORY




少し涙を流すと落ち着いてきた



よく見ていると



母はすごく落ち着いている



部屋の中も



父だけしか家事をしないだろうに



きちんと片付いている



「今回はお父さんが



掃除も洗濯もお見舞いも



全部してくれたんだよ



だから誰にも相談していないの」



母はそう言って笑った



素敵な笑顔だ



父もよく気がついて



動いてくれる



「お見舞いとかお返しとか



面倒だからね」



父はそう言って笑った



「悪かったね、近頃愛果



すごく仕事頑張っていたから



邪魔したくなかったんだ




どうだい、仕事のほうは」



私は仕事の様子を



話して聞かせた



二人とも楽しそうに



聞いてくれた



一日実家で遊ぶつもりで



きたのだけど



母の姿を見て



その日は自分の部屋へ



戻ることにした



父が駐車場まで見送りにきてくれた




退職して五年ほどになる父



近くのスーパーなどで



パートタイムで働いていた



会社勤めをしている時は



家事など殆どしたことが



なかった人だった



「愛果ごめんな、



愛果には連絡しようかって



母さんに相談したんだけど



母さん、愛果に心配かけたく



ないからって絶対に話すなって



きかなくってさ」



私は父と母の気持ちを



良い意味に捉えようと



考えていた



そして


自分が二人に少しづつ



寄り添っていてあげようと



思っていた



「大丈夫だよ、お父さん



お父さんこそ、大変だったね



ありがとう



もし、そのことを聞いていても



あんまり手伝いに行けなかった



と思う。」