とりあえず、助手席の
お姫様の代わりにお話ししようかな
「圭介仕事はどう?
うちはようやくひと段落着いた。
まだまだ年度代わりした
ばっかりだから、暫く行事あるけど。」
車は住宅街を走っていた
夜中だから
人はいない
「そっか、俺らはまだ新年度の
予算決まってないから
のんびりしてるよ
上司や事務の人達は大変みたい
休みもないらしいから。」
判るわ、私は頷いた
「しかし、学生時代は遊んで
ばっかだったのに
愛果と仕事の話するなんて
不思議だな。」
流れていく
車の窓の外の景色を見ながら
その言葉に自然に笑みが浮かぶ
本当にそう
心も気持ちも同じなのに
人はいつから
大人になるのだろう
「愛果は東京行かないの
東京なんて近いよ
俺最近、週ニで東京行くよ
全て日帰り」
そうなんだ
営業や開発の人が
彼方此方へ
行くのはよくあること
「そうだよね、でも私は
事務職ですので
まだまだそんな話ないよ」
「そうじゃないよ、
自分からハルさんに
逢いに行く気はないのって
聞いてるんだよ」
ああ、そうだよね
そんな手もあったね
なんてすっとぼけてみる
「心配じゃないの
だってうちらと違う世界の人でしょ
あんまりいい噂聞かない世界でしょ」
確かにね
ハルにあうまでは
そんな世界とは全く無関係だったし
そんな知り合いもいない
音楽を聴くのが好きなだけな
いたいけな女の子だったもんね
そう言うと
圭介はその言葉を聞いて笑った

