HALF MOON STORY




今夜は大丈夫だったみたい



残業でおくれた蘭が



パスタが食べたいと言ったので



学生時代によく行ったお店に



行った



会社で何か思う通りに




ならなかった蘭は




飲み続け



会社の愚痴を話した



明日が土曜日だったので



結局最後まで店で飲んだ



圭介が迎えに来るまで



いつもの通り



駐車場で話し込む



こんな時間が好き



たとえ知り合いがいなくても



人がいると話づらいことでも



こんな時は素直に話せる



自分の気持ちとか




明くる日の朝



何を話たかなんて



多分忘れてるしね



駐車場の隅で



話し込む二人



以前より明るくなった蘭



吹っ切れた感じの彼女は



とても素敵になった



離婚もあっさり成立して



独身気分を満喫中といったところ



「蘭明るくなったね」



そう彼女に話かけた



彼女は嬉しそうに微笑んだ



白のシャツに辛子色のカーディガン



耳元にある小さなピアスが



駐車場の街灯の光を反射して



きらりと光った



「そうなんだ、こんなに



愚痴を言っても、仕事楽しい



誰もいない部屋に一日中いるより



ずっといい」




私はふーんと頷く



好きな人と一緒に暮らすのって



どんな感じなんだろう



少し気になる



そう尋ねた



「人によるんじゃないのかな



あの時なんで結婚したのか



よく判らない



相手が適齢期だったからかな



話があれよあれよと進んでた」



そう話す横顔は少し痛々しい




「愛とか恋とかこういうもんだと



思っていた



そういう関係だったしね」



そう言って、ニヤリと笑った



その笑顔を見て少し安心する



吹っ切れてるみたいだ