ハルが話を続けた
「今日はスタジオに居るんだ
今日何の日か知ってる愛果」
私は首をかしげて考えた
思い浮かべるまえに
ハルが話を続けた
「ホワイトデーなんだよね
愛果忘れてそうだけど。」
ハルの後ろに楽器を持った人が
椅子をもって来て座った
そしてこちらに向かって
手を振っている
彼に背を向けて話している
ハルには見えていない
「今日はいつも一緒に仕事している
人に残ってもらいました。
愛果にプレゼントしようと思って」
そう言って後ろに座った人を見た
二人は目を合わせると笑いあった
そしてギターの人とピアノの人を
紹介した
「これから愛果の好きな曲を
演奏します
聴いてください」
そう言って皆に合図をすると
演奏を始めた
私は玄関から動けなくなった
曲はI DON'T WANT TO MISS A THING
アルマゲドンの主題歌だ
ちょっと待った!
こんなの反則!
私の心臓はドキドキして
画面から目を離すことができなくなった
演奏がまた素敵で
途中から
嬉しさは感動に変わった
そしてハルの優しさが
伝わってきて
自然と涙が溢れてきた
何より
ハルが元気に
こうしてハルのわがままに
付き合ってくれる人達と
楽しそうに演奏しているのが
何よりも物凄く嬉しかった
そしてそんなハルから
こんなプレゼントを貰った自分が
何よりも嬉しくて
本当に幸せだった
人は幸せでも
涙が出るんだね
ありがとうハル
涙はさっきまでの
私の寂しさを洗い流した
声を上げて
泣いた
嬉し涙で
こんなに泣いたのは
初めて
その涙はとても暖かく
私の心を暖めてくれた
その涙をぬぐった右手も
暖めたのだった

