HALF MOON STORY



一人になったソファの上


私は



足元に散らかった



二人の服を見つめていた



ハルの白いシャツの上に



自分の見慣れたソックスが重なっている



初めて見るその景色と



躰に残る彼の感触



目を閉じても



鮮やかに甦ってくる



それだけで本当



どうにかなってしまいそうだ


誰かが来る前に



片付けなくてはと思いながら



今はこうして



この景色を見ていたいと思う



膝を抱え、さっきのあなたを思い出す



何度も繰り返し


忘れたくない


私の大切な宝物


そして


この床に広がった


二人の衣服は


そのまま


二人の気持ちの様に


映った


不規則で


形も様々


これまでの


二人の思いが


散らばって落ちている


これからどうしたらいいんだろう


自分は一体どうしたいのか



まだ選びたくない


時々不意に現れる


あなたの私への気持ちを



一瞬でも見逃すまいとする私



そして


私の中から現れる


あなたへの思いを



何時までもこのまま


見つめていたい


そう思えた


そんな事を考えていると


ハルが大き目のワイングラスを


二つ右手に持ち


左手にお店でいつも見慣れた


ピッチャーを持ってやって来た


「これしかなかった。」


そう言って


ハルはソファの前にある


テーブルにワイングラスを置き



慣れた手つきで



水を注いだ




そして私の横に座ると



グラスを取って私に渡した



グラスを受け取った私は



お礼を言うと



ハルが差し出した手を



グラスを持った手と反対の手で



そっと握った



そう、あなたと一秒だって



離れていたくなかった



私達はふざけて



グラスを音を立てて合わす



中身はいつもの水



だけど、今の二人には



最高のワインと同じだったから