ハルの腕に手を添えて、ホテルへと入っていく。
ハルは様々な人に愛想よく挨拶をしていて。
プライベートでは見せない笑顔を惜しみなく振り撒いていた。
そんな意外な一面を目の当たりにしていると、カズさんが険しい表情のまま近付いてきた。
「ごめん、悠斗ちょっといい?」
ハルが離れ、代わりにカズさんと一緒にいた女性が私に話しかける。
「初めまして。私、中島 亜美」
差し出された白くて小さな手。
淡いイエローのドレスが、よく似合っていると思ったのは笑顔が弾けるように明るくて綺麗だから。
「は、初めまして。安原 結愛です」
「私ね、和也と悠斗の幼馴染みなの」
「そうなんですか」
「和也と悠斗行っちゃったから、一緒に食べない?お腹空いちゃった」
亜美さんに連れられて、ビュッフェを楽しむことになり少し気が軽くなる。
気さくな彼女は、お皿にいっぱいお肉を乗せて無邪気に頬張った。
「ん、おいひい」
「相変わらず食い意地張ってんな、亜美は」
ハルとカズさんが戻ってきた。
カズさんは私と目が合うと、子犬のような可愛い笑顔を浮かべたが。
何だか無理して笑っているような気がした。
「はい、和也。あーん…」
「ん、うまい」
「バカップルが」
亜美さんとカズさんは付き合ってるんだ…。
二人の仲の良さにハルは呆れながら、ワイングラスを煽る。
「結愛」
「どうしたの?」
ハルは真っ直ぐ私を見つめて、いつになく真剣な表情をしていた。
「日和のこと、知ってたのか?」
ドクン…と胸が鳴る。
周りの賑やかさが、一瞬にして何も聞こえなくなるほどに…。
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