×龍斗×


奈美のことを気にし出したのは、小学生の時だったな。


アニメとかでありそうだが、雨が降ってた時。その頃から、奈美とは仲が良かった。周りからからかわれてもいたが、気にしなかった。だって、否定も肯定もしなくても、そういう関係以上の仲の良さだったから。

いつも、帰りは一緒に帰っていたが、今日は部活が遅くなり、奈美に先に帰るように言った。

そんなとき、雨が降ってきたのだ。

折りたたみ傘もない。

ずぶ濡れで帰ろうか悩んでた時だ。

「龍斗ぉー!!」


誰かが自分の名前を叫びながら、走ってくるのだ。
それは、奈美だった。


「奈美…どうして…」


息を切らせながら話始めた。


「はぁ…はぁ…いや、龍斗が遅いから、何かあったのかと思って…」


「部活が遅くなるって言っただろ?」


すると奈美は、ハッとして笑顔をみせた。

「あっ、そうだった。でも…」

そう言いながら、俺を傘の下に入れた。


「私がきて良かったでしょ?ね!!」


この頃から、奈美はツンデレというか…それでもいい奴だった。


奈美の隣が、安心して、居心地のいい場所になってた。
だから、誰に告白されても、俺には奈美しか見えてなかった。

だって、こんないい奴、他にいないから。


幼稚園の時から一緒だが、奈美が他の奴の悪口を言ったところをみたことがない。

誰に対しても優しく、嫌いな人でも避けずにいた。

こんな性格の俺なのに、色々言いながら、いつも付き合ってくれている。


なのに…いや、だからか。奈美の良さに気づいたやつが、奈美に近づいていく。奈美がそれでいいなら、俺も見守ろうと決めた。


でも、現実に起きてしまうと、取られたくないと思ってしまったのだ。
別に、俺のものじゃないのに…


俺も、嫉妬するんだな。


奈美は俺のこと、ただの友達としか思ってくれてないのだろう。



それでも、まだ、奈美の近くにいたい。



絶対に、奈美を諦めない。