いよいよ明日、修学旅行だ。
言ったら私も、そこまで悠樹と話していない。
かといって、私は悠樹のことを恋愛の感情で好きなのか…まだわからない。
「おい、何て顔してんだよ。悪いもんでも食ったの?」
話しかけてきたのは、私の幼なじみ…つまり、龍斗だ。
(誰のせいだと思ってる…)
「さぁ、どうでしょうね!」
「何怒ってんだよ…ってか、今日、一時間目から数学じゃん…!」
そういうなり、悠樹の席に座りうなだれた。
「あのさ…」
聞いていいことではないだろう。
だが、思いとは裏腹に聞きたい自分がいる。
「ん?」
ここまできたら、聞くしかない。
「龍斗は、美花のことどう思ってる?」
すると、一瞬だけ表情が変わった気がした。
「いや…まぁ、頭のいい人だなってくらい。なんで?」
「いや、なんでもない…」
龍斗は、他に好きな人がいる。
私は直感でそう思った。
「奈美、悠樹のこと好きなんだろ。」
私が、ノートを取り出すのと同時にそんなことをいきなり聞かれて、驚いてしまった。
「は、はぁ?なんで、そうなる訳?」
「いや、なんでもw長いこと一緒にいると…な、勘だよ。か・ん!」
本当にそれが事実かはわからないが、そのときは曖昧に終わった。
いつもの聞きなれたチャイムが鳴り終わると、授業が始まった。
すると、隣でゴソゴソしている人がいる。
「あれ…」
悠樹だ。何かを探してる。
だが、あきらめた様で、先生の所へ報告に行った。
戻ってくると、少し照れながら頭をかいた。
男子の友達等は、笑っていた。女子からも、かわいいと声があがっていたりする。
それに笑顔でかえしながら、私の机に自分の机をつけた。
「ごめんね…」
そういうと悠樹は、小さい声で囁いた。
「教科書…貸してもらえる…?」

