そこに、ある人が現れたのだ。
身長が高く、目がきれいで、黒髪のメガネ男子が。
「冬馬! 作業終わった?」
声もきれいで、明るそうな人だった。
それは、あの悠樹だった。
前にも何回か見かけたが、話したり近くで見たことがなかったからか、初めてみた感覚に襲われた。
「まだ。意外に量が多くてさ。てか、なんで来たんだよ?作業、終わったんだろ?」
作業が終わり次第帰って良かったのだが。
それに、体育委員会と福祉委員会の接点もない。
「なんか、葉山さんが小堺さんに会いたいっていうから…」
葉山さん…それは、前のクラスが同じだった、葉山 美花(はやま みか)のことだろう。
とても仲が良かった。私の親友。
体育委員会の副委員長だ。
「なるほどな。で、本人は?」
悠樹は、アルミ缶を足で器用に袋へ入れながら答えた。
「今、チャリ取ってくるってさ。だから、すぐくるよ。でも、これ大変だね。」
そういいながら、手伝ってくれた。
「奈美! 手伝いにきたよ!」
美花は、本当にいいこだ。頭も良く、先生からの信頼もあつく、優しい…
今日も、色々と手伝ってくれた。
「あ、きた。じゃ、俺はこれで…」
そういいながら、悠樹は、校庭へ歩き始めた。
「え、待てよ、おいてくな、俺を。」
「いや、だって作業終わったし…」
すると冬馬は、私をみて悠樹にはなしかけた。
「ほら、委員長だって手伝って欲しそうだぞ?」
「やっ、別に私はっ…」
私がそう言おうとすると、悠樹は方向転換し、再びこちらにきた。
「小堺さんに言われたらしょうがないな…後で葉山さんになんて言われるかわからないからな」
そう言って、笑った。
笑顔がなんとも言えない爽やかさを放っていた。
「ちょ、それ、どうゆう意味?」
「ごめんごめん、やりますから…」
とか言いながら、作業に取り組んだ。皆との作業はとても楽しかった。
そのあと、4人で作業を終え、2人は部活へ。
私と美花はそれぞれ帰宅した。

