やっとのことで奈良公園についた。

色々な寺にまわり、記念写真を撮りすぎた。


しかし、先生や業者の人に撮ってもらったので、何枚撮ったか覚えていない。


『奈美は、好くよりも好かれる方だから、そんな風に言えるんだよ…ごめん。』


あれから数分喋らなかったが、昼食時は普通に話せていた。

寺を回るときも、いつも通り喋っていた。


「奈美!見て見て!鹿だよ鹿!」


いつもならあまり違和感がないのに、今は少し美花が怖く見える。


「本当だね…」


そんな私を見たからなのか、美花が近くにきて私の手を握った。


「えっ…?」


なんで手を握ったのかわからなかったが、美花は少し悲しげな表情を浮かべた。


「さっきはごめんね。悪気があった訳じゃないし…わかってるよ。言った方がいいって。それでも、私には勇気がないんだよ。わかって…」

そう言ったあとに、私の目を見て少し強めに訴えた。


「私、奈美に憧れてるの!あんな風に龍斗君…他の男子とも普通以上に仲良くできてる奈美を。
ちょっと、おかしくなっただけ。だから、許して…」


私は、友達にそんな悲しい顔をしてほしくなかった。ちょっと怖かったけど、美花は美花だ。
私の親友…大親友。


「うん、気にしてないよ。私も美花のこと気遣ってあげられなくてごめんね。」


そこに丁度、先生が通りかかった。


「あ、先生!写真撮って下さい!」

先生は笑顔で近づいてきた。

「美花、一緒に撮ろ!鹿と!」


「はいはぁい、じゃ、撮るよ!」


私と美花は密着して、ピース!


やっぱり…



「3、2、1…」

パシャッ


美花は私の大親友だ。



これからもずっと。


だよね。




美花…